2010年6月19日土曜日

作品制作団体の選定について

6月16日(水)、若手アニメーター育成プロジェクトにご参加いただく作品制作団体として、4社の採択に関するプレスリリースを公開しました。

お陰様で、5月21日(金)の応募締切までに、プロジェクト事務局の想定を超える16社からご応募を頂戴しました。この記事では、作品制作団体の選定を担当する選定・評価委員会と選定プロセスについてご説明します。

作品制作団体の選定は、選定・評価委員会により行われました。選定・評価委員会は、JAniCA(一般社団法人日本アニメーター・演出協会)役員でなく、JAniCAと直接経済的利害関係を有しないアニメーション業界内の有識者、若干名で構成されています。委員の人選については、日本アカデミー賞等の類例に倣い、非公開とさせていただきました。これは、委員に対する付け届け等の不正な働きかけを防止するための措置です。なお、委員の構成等については、プロジェクト計画書11頁に記載しています(募集案内添付資料2)。

今年度の委員は、プロデューサー、アニメーション監督および作画監督経験を有するベテランアニメーター、それぞれ均等の割合で構成されました。プロデューサーについては、商業アニメーションに関するアニメーター育成、それにオリジナル作品の開発による制作会社の活性化という観点に基づき、テレビ局やソフト会社でアニメーションを担当されている方々にもお願いをし、ご参加いただくことができました。

委員会は、途中1回、30分程度の食事休憩を挟み、約8時間近くにわたって行われました。先ず4時間近くをかけて応募書類の読み込みがされた後、更に約3時間、作品制作団体の選定に関する議論が重ねられました。採択された以外にも意欲的なご応募の数々があり、選定は困難を極めましたが、最後は全ての委員の意見が1つにまとまり、今回発表の結果に至りました。

今年度は初年度事業のところ、周知期間・募集期間とも限られていたにもかかわらず、多くの意欲的なご応募を頂戴することができました。プロジェクト事務局一同、厚く御礼申し上げます。来年度以降もこの事業が継続していくよう、作品制作団体となった4社の皆様と協力して、プロジェクトを進めて参りたいと存じます。


記事の最後に、選定結果発表前、ある応募社の代表の方から頂戴したお言葉をご紹介します。
「今回の応募は、規定をブッチギッて、中小スタジオとしての意見として提出したので、落選は覚悟の上です。来年度もあるのであれば、是非ご検討ください」

この方からは、事業説明会当日の夜にも非常に意欲的なお問い合わせを頂戴しました。ご意見の要旨は、
・今年度の1社あたり事業予算である3800万円という金額は、作画関係に用途指定を行っていることもあり、必ずしも十分ではない。
・事業を通じて制作した作品そのものに経済的価値を見いだすのであればともかく、制作会社として今回の事業予算の枠内のみで一切の持ち出しなしで済ませるためには、社内に作画用の場所がある等の事情が必要であり、対象がある程度以上の規模の制作会社に限定されている。
といったものでした。

プロジェクトの趣旨・内容については、政治や行政の事情も関係するため、JAniCAやプロジェクト事務局の一存だけで左右できるものではありません。しかし、こうやって頂戴した貴重なご意見の数々は、全て文化庁に対してご報告しております。また、この事業が来年以降も継続する場合には、可能な限り、プロジェクト計画に反映させていきたいと考えております。この事業については、上記でご紹介した以外にも、実に多くの皆様からご意見を頂戴しております。この場を借りて、改めて御礼申し上げます。

前回記事に掲載したご意見を承る機会、実施時期が8月以降にずれ込んでしまいそうですが、事業期間中に是非とも実施したいと考えておりますので、その際は何卒よろしくお願いいたします。