2010年11月23日火曜日

全体講義 第2回のご紹介

10月7日(木)・8日(金)の2日間にわたり行われた、第2回全体講義の概要をお伝えします。


全体講義の第2回目は、作画工程真っ盛りの10月初旬、7日(木)・8日(金)の両日に渡って行われました。カリキュラムは次のとおりです。

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10月7日(木)
 13:00~14:30 講義『産業構造、職業倫理、コスト意識、スケジュール管理等について』
           講 師:堀川憲司(P.A.works代表取締役)
 14:40~15:10 報告『第1回グループミーティングのまとめ』
           報告者:深井利行(ヒアリング委員)
 15:10~15:30 グループミーティング/説明
 15:30~17:20 グループミーティング(途中休憩1回)
           『制作工程の問題と分析、対策』
 17:30~19:00 若手アニメーターヒアリング(4社全て)

10月8日(金)
 10:00~11:00 講義『アフレコの概論、基礎知識、声優が困る作画等』
           講 師:佐藤正治(声優、青二プロダクション)
 11:10~12:30 講義『演技指導・概論から』
           講 師:佐藤正治(同上)
 13:30~15:10 講義『演技指導』
           講 師:佐藤正治(同上)
 15:20~17:00 講義『演技指導』
           講 師:佐藤正治(同上)
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初日のテーマは、アニメーターとしての立場を離れたプロデューサーの視点から、商業アニメーターにとっての「仕事」である”アニメーション制作”を学び、長く働くことのできるアニメーターとはどのようなアニメーターかを考えよう、というものでした。講師をお願いしたP.A.worksの堀川社長からは、「スタジオ経営者が20代、30代、そして40代のアニメーターに求めること」など、日頃は耳にすることのない率直なコメントを伺うことができました。

2日目は打って変わって、”演技”です。良いアニメーターは良き演技者であるともいわれます。しかし考えてみれば、俳優や声優といった演技そのものを探求する職業があるように、演技とはそれ自体が精妙で奥深いものです。アニメーターは普段からモノの動きやヒとの仕草といった万物に対する観察を怠らないといいます。しかし、仕事以外でも演劇などをされることの多い声優さんと異なり、演劇をすることを趣味にしているアニメーター、という話はほとんど聞きません。

そこで、今回はベテラン声優である佐藤正治さん(青二プロ所属)に講師をお願いし、簡単な演技指導の後、若手アニメーター全員が実際に小グループに分かれて演技をしてみる、という講義を行いました。なお、事業を始めるに当たって若手アニメーターの皆さんに出していただいたアンケートでも、演技指導は希望する項目の上位に挙げられていました。

台本を手に、舞台で身振り手振りを交えつつ、最初は慣れない演技に戸惑っていた若手アニメーターの皆さんですが、とても良い刺激になった様です。受講を終えた皆さんからは、「明日からの仕事に役立つ」「非常に勉強になった」など、とても好評を博していました。

全体講義も、最終となる第3回が先週、11月17日(木)・18日(金)の両日に無事、終了しました。また記事を改めてご報告します。

2010年11月5日金曜日

作品の公開について(上映)

前回記事でご案内した読売新聞、10月22日(金)夕刊に無事掲載されました。とはいえ、記事の掲載は各地方のご判断もあるということで、関東では各社キービジュアルを含めた大きな取り扱いをいただいたものの、私の住んでいる大阪版には掲載がなかった模様です...

さて、記事でもご紹介をいただきましたが、若手アニメーター育成プロジェクトで製作中の4作品、来春3月、劇場でお披露目上映会を行うことができる運びとなりました。この上映会は、新宿バルト9など、日本全国でシネマコンプレックスを運営される株式会社ティ・ジョイ様のご厚意により、実現できることとなったものです。上映館は、全国10館程度を軸に調整中です。上映は約1週間程度を予定しております。詳細は、確定次第改めてご案内させていただきます。

上映に際して必要な劇場ポスター、チラシ等については、デザイナーとして草野剛さんにご参加いただけることとなりました。草野さんは、劇場版機動戦士ガンダム00、スタードライバー、鉄コン筋クリート、劇場版イヴの時間など、多くのアニメ作品にも関わっておられる気鋭のデザイナーさんです。

関係者以外の方々への上映は、プロマネの私自身、今年5月のプロジェクト発足当初には考えてもおりませんでした。作品を制作する以上、作品をご覧いただく機会を確保したいとは考えていました。しかし、プロジェクト計画書をお読みの方は先刻ご承知のとおり、当初想定していたのはNHKさんによる放映のみでした(残念ながら、NHKさんによる放映は先方のご事情により、今年度は実現されないこととなりました。)。

今回の上映は、ティ・ジョイさんからのご提案により、実現することとなったものです。ティ・ジョイさんとの最初の接点は、関係試写会会場である新宿バルト9の貸館交渉でした。その際、若手アニメーター育成プロジェクトの概要についてもご案内を差し上げたところ、先方から「非常に意義ある取り組みだと思うので、是非ご協力したい」とのご提案をいただきました。

ティ・ジョイさんの上映館は全てデジタルシネマですので、上映に際していわゆるフィルムのプリント費用は生じません。しかし、プロジェクト作品はテレビ放映を想定していたため、納品素材は劇場用の素材、すなわちDCP(デジタル・シネマ・パッケージ)と異なります。したがって、上映のためにはフォーマットの変換が必要です。これは一例ですが、上映会の実現には、DCP変換、頒布用チラシや劇場ポスターの制作費用等、当初想定していなかった種々の手当が必要です。

しかし、貴重な公金を費やして制作され、かつ、多くのスタッフの皆さんの努力の結晶である作品を、広く皆さんにお披露目し、更には作品に対する評価という形で作品をご覧いただいた皆さんにもプロジェクトにご参加いただけることを思えば、多少の手間暇や費用など、全く問題になりません。幸い、文化庁としてもこの新たな取組みは好ましいことであると応援いただくことができました。

作品が無事完成するか、実際に多くの皆さんに劇場まで足を運んでいただけるのか等々、不安は多々あります。しかし、ティ・ジョイさん、文化庁さん、草野さん、読売新聞さんその他のメディア、それにプロジェクト参加4社等々、多くの皆さんがこの件にもご協力下さっています。私たちプロジェクト事務局も、今できることに全力で取り組んで参ります。