2010年12月18日土曜日

劇場用ポスターのデザイン

今年も残り少なくなりました。先日ご紹介したお披露目上映会まで、もう3ヶ月ありません。

上映をする場合、普通ならそれなりに広告を出したりメディアミックス的にコミックスを出したり、今であればそれなりの方法があります。しかし、今回のお披露目上映はこの秋、ティ・ジョイさんからのお申し出により、実現することになったもの。いわゆる公共事業であるこのプロジェクトでは、プロジェクトが始まった時点で、既に基本的に大方の予算配分が決まっています。

というわけで、お披露目上映会のプロモーションは基本的に「お金をかけない(かけられない)」方法によることとなりました。具体的には、

  1. 劇場にポスターを貼っていただく
  2. 公開の暫く前から、上映館で予告編を流していただく
  3. 公開の暫く前から、上映館でリーフレットを配布していただく(5,000枚×8館程度)
  4. 公開の暫く前から、ニコニコ動画やYoutubeで予告編を公開する
  5. 主要アニメ誌にニュースとして取り上げていただく
  6. 主要媒体(新聞・テレビなど)にニュースとして報道いただく

といった方法を考え、実行に移しています(他にも良いアイディアがあれば、TwitterでDaisukeP宛、ご提案下さい!)。

今回は、1番、劇場用ポスターの絵柄についてご紹介します。ご紹介している画像は、デザイナーの草野剛さんから最初にご提案いただいたものです。なお、画像中の絵柄やコピー等はおよそのイメージを掴むための仮のものです。



絵コンテやキャラ設定等の素材をお渡ししてから、1週間後にはこれだけのバリエーションをご提案いただきました。プロジェクトでは、これらのデザイン案を叩き台にして、各作品のプロデューサーさん、監督さんなどと打合せを行いました。現在、この中の1つをベースに、絵柄のクリンナップ作業やデザインの追い込みなどが行われています。

しかし、プロのデザイナーさんというのは凄いものです。お仕事のスピードもさることながら、打合せの際、関係者の方のコメントや要望に応え、あれやこれやと柔軟な提案がその場で出てくることにも唸らされました。多くの引き出しがあって、それをクライアントの要望に応じながらスムーズに開け閉めできるのがプロのデザイナーさんなのでしょう。そして、そういったコミュニケーションを通じて、それまで誰も至っていなかった、何かより良いものを見いだす喜び。それが、打合せの意味なのだろうと感じました。

2010年12月15日水曜日

お披露目上映会のプレスリリースを公開しました

先の投稿でご紹介したお披露目上映会について、本日、ティ・ジョイさんと共同でプレスリリースを公開いたしました。

http://www.janica.jp/press/press101215.pdf

お披露目上映会やキャストを含めた作品紹介については、1月発売の主要アニメ誌でもご紹介いただける見通しです。

今日は、アセンションさんの「キズナ一撃」で動画をご担当いただくWish、じゃんぐるじむ、4℃さんにお邪魔してきました。多くの動画アニメーターの皆さんとお会いして、改めてアニメは集団作業の賜物であることを実感しました。

2010年12月1日水曜日

作品の上映館が決まりました

11月5日の記事でご紹介した作品の上映、この度、上映館が決まりました。

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一般お披露目上映会

上映作品

キズナ一撃
キズナを倒せば一億円。世界格闘技チャンピオンを倒した轟キズナに
賞金がかけられた。だけど、キズナは13歳の女子中学生。学校にも
行かなきゃならないし、やってくる挑戦者にも勝ち続けなければいけない。
前代未聞!本格格闘ファミリーギャグ。
制作:アセンション(『カラフル』)/監督:本郷みつる。

おぢいさんのランプ
文明開化の明治時代、村にランプを広めて夜を明るくしようと決意
した13歳の少年。だが、村人たちは新しいものをなかなか受け入れ
ようとはしなかった。
「ごんぎつね」で知られる新美南吉の童話をアニメ化。
制作:テレコム・アニメーションフィルム(『ルパン三世 カリオストロの城』
『もやしもん』)/監督:滝口禎一

万能野菜 ニンニンマン
まりちゃんが大嫌いな食べ物を食べると、ニンニンマンが現れた!
ニンジン、ピーマン、牛乳が《お化け》に変身。へんてこな魔法を
使って、まりちゃんのトラブルを解決しようと活躍する。
家族で楽しめる、笑いと涙のハートフルな魔法アニメ。
制作:P.A.WORKS(『true tears』『Angel Beats!』)/監督:吉原正行

たんすわらし。
アパート住まいのOL・のえるの元に、親から送られてきた和だんす。
その中から次々と子どもたちが現れて、大騒動が巻き起こる。
彼らは「たんすわらし」だった……。シンプルなキャラクターで描く
不思議な笑いのドタバタ日常ドラマ。
制作:Production I.G(『イノセンス』『東のエデン』)/監督:黄瀬和哉

以上、4作品のオムニバス上映、各23分30秒~24分30秒程度、上映時間約100分

上映館(予定):
新宿バルト9、横浜ブルク13、T・ジョイ大泉、広島バルト11、T・ジョイ京都、
T・ジョイ新潟、T・ジョイ博多、梅田ブルク7(以上、計8館)

上映期間:
平成23年3月5日(土)から同月11日(金)まで、1日2回(朝夕)

鑑賞料金(予定):
一般1000円、大学・高校・専門学校生800円、中学生以下500円
※ 本上映は興行ではなく、プロジェクトの広報活動の一環として行うものです。
収入はフォーマット変換や貸館代等、上映に伴う実費に充当いたします。

備考:
※1 上映館では、草野剛さんデザインによる劇場用ポスターを展示します。
※2 上映館では、草野剛さんとアニメ評論家・氷川竜介さんらによるリーフレット
(作品紹介とプロジェクトに関する情報を掲載、B5版・2つ折り・4頁)を配布
する予定です(数量限定)。
※3 上映館では、鑑賞いただいた皆さまにアンケートをお願いする予定です。
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プロジェクトの成果を是非、確かめに来ていただきたいと思います。多くの皆様にご来場
いただければ、来年、この事業が継続できる場合、当初から劇場公開を踏まえた計画を
組むことができるようになるかもしれません。

詳細については、今後、本ブログのほか、新聞やアニメ誌等のご協力をいただきながら、
都度、ご報告して参ります。プロジェクトへのご参加をお待ちしております。

全体講義 第3回のご紹介

11月18日(木)・19日(金)の2日間にわたり行われた、第3回全体講義の概要をお伝えします。


各2日ずつで全3回を予定していた全体講義も今回で全日程が終了、最終回となる今回は、育成検討委員の
川元利浩さんによるパース講座と、プロジェクトに参加した若手アニメーターの皆さんが参加しての討論会を
中心にカリキュラムが組まれました。

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11月18日(木)
 12:30~13:30 全体講義アンケートへの回答
            報告者:神村幸子(育成検討委員会)
 13:40~16:50 講義『パース講座』
           講師:川元利浩(ボンズ・育成検討委員)
 17:05~ 若手アニメーターヒアリング(P.A.works)

11月19日(金)
 10:00~12:00 サムネイルを見る
           進行:神村幸子(PM、育成検討委員)
 13:10~16:10 討論『アニメーター職種の未来について』
           進行:後藤隆幸(I.G、育成検討委員)
 16:20~17:20 アンケート記入
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初日の1コマ目「全体講義アンケートへの回答」は、プロジェクト開始当初、プロジェクトに参加される若手アニメーターの皆さんにお願いしたアンケートに対する育成検討委員会からのコメントをお話しいただきました。全体講義のカリキュラムは、育成検討委員会(IG・後藤さん、ボンズ・川元さん、夢幻館・椛島さん、神村幸子さん)で検討し、お決めいただいたものです。カリキュラムの決定に際し、受講される若手アニメーターの皆さんのご要望も可能な限り、取り入れたいということでアンケートを行いました。この講義では、アンケートに書かれた質問、意見について、育成検討委員会が応えるという形で意見交換を図りました。


初日2コマ目はパース講座です。ボンズの中核で、育成検討委員もお願いしている川元さんにお願いすることができました。


2日目の1コマ目では、これまで12週間にわたって各週1つずつ、若手アニメーターの皆さんからご提出いただいたサムネイル課題を机上に揃え、若手アニメーターの皆さんで回覧していただきました。今回、サムネイル課題の提出をお願いしている若手アニメーターは4社で計32名。それぞれ12課題をお願いしていますので、カット数は合わせて384となります。


育成検討委員にはこの全カットについて、初日の講義が終わった後、18時から22時過ぎまで4時間以上をかけてチェックいただき、「よい」と思うカットにそれぞれシールを貼っていただきました。委員は4人ですので、全員が「よい」と思ったカットには4つのシール、1人だけなら1つのシールといった具合です。


384カット全てを並べるのは難しいということもあって、講義では上位の約半数を並べ、これらのサムネイルを書いた若手アニメーターの皆さんに見ていただきました。サムネイルには所属社名と個人名も記載されています。若手アニメーターの方々からは、「自分のサムネイルに4つの星が付いているのを見て、とても嬉しかった」「他の若手が、自分とは異なる解釈で描いたサムネイルを見るのがとても参考になった」などの声が上がっていました。


2日目の2コマ目は討論会。右手の写真にあるように、若手アニメーターの皆さんに車座になっていただき、育成検討委員の後藤さんによる司会で途中休憩を挟み、約3時間にわたって意見交換をしていただきました。若手アニメーター全員から感想と要望を寄せていただきつつ、それぞれに育成検討委員やプロマネから回答、または意見を寄せるなどし、最後はこれからを担う若きアニメーターとして、先輩や国に何を望むかといったことについても意見をいただきました。


最後のアンケートは、ある意味この事業の総括り。プロジェクトの主役である若手アニメーターの皆さんから、相当詳細な声をいただくため、A4版9ページに及ぶ調査表にご記入いただきました。頂戴した調査表を見ると、今後の取り組みを行う際に活かしていこう、と思うだけの丁寧で前向きな意見を多く寄せていただいておりました。


全体講義を終えたことにより、OJTとOff-JTというプロジェクトのコア部分はある意味、無事終了したということができます。しかし、作品づくりはこれからが最後の追い込みです。幸いにして、多くの皆様のご厚意を得て、作品を多くの方に観ていただく機会を確保することができました。作品が多くの方の目に触れ、評価を経ることにより、プロジェクトに参加いただいたアニメーターを含めたスタッフの皆さんの意識とモチベーションが高まっていくものと思います。その意味では、作品が無事完成し、上映・放送が実行されるまで、プロジェクトは終わりません。プロジェクト事務局一同も、それまで関係者の皆様と一緒により良い運営を心がけていきたいと考えています。