今回の講義は、合計3回・各回2日ずつ行われる全体講義の1回目です。若手アニメーター育成プロジェクトはOJT、実際に作品制作を行う過程でのトレーニングを主としています。OJTとは別に、これを補足するため行われるのが全体講義です。あえて「全体」講義と呼んでいるのは、制作期間中、各社がそれぞれ工夫をされた個別講義を行っておられるため、これらと区別する趣旨です。
先ず、全体講義のカリキュラムをご紹介します。
8月20日(金)
13:00~14:00 事業説明
14:00~14:10 サムネイル課題の描き方
14:30~16:30 講義『アニメーターの技術とは』井上俊之(アニメーター)
16:45~17:45 講義『アニメーター用語の豆知識』
8月21日(土)
10:00~11:30 講義『契約の基礎・社会知識等』
13:00~13:30 説明『グループミーティングについて』
13:30~15:10 グループミーティング
[解 散]
15:30~17:30 若手ヒアリング(P.A.worksのみ)
各チームの若手アニメーターは、これら全てについて出席していただくようお願いしました。P.A.worksさんは、富山からバスを仕立てていただくなどして、若手原画12名を含む総勢19名にご参加いただきました。
全体講義のような座学は、それを受講したからといって直ぐに技術が身についたりする類のものではありません。にも関わらず、わざわざ作業を止めてまでお越しいただいた狙いは、各チームの枠を超え、プロジェクトに参加している全ての若手アニメーターの皆さんに同期であるという意識を持っていただくと同時に、他にも3つのチームが同様の制作をされていることに直接触れてもらい、健全な競争意識を養っていただくことにあります。
とはいえ、普段慣れない座学、それも小難しい事業や法律の説明などが多かったので、実施する前は寝てしまう方が続出するのではないかと心配しました。しかし、これは杞憂でした。皆さん、非常に集中して講義を受けていただき、居眠りなどはほとんどありませんでした。
また、同期意識を養っていただくために実施したグループミーティングも好評でした。グループミーティングは、アニメーターとしての将来のキャリアをどのように考えるかなどについて、各チームのスタッフをシャッフルして、5人前後のグループに分けて行いました。とりわけ、普段、他社の若手に接する機会の少ないP.A.worksの若手アニメーターの皆さんからは、「自分たちだけの悩みかと思っていたことが、そうではないことが分かってほっとした」等といった声が聞かれました。
なお、初日に行われたアニメーター・井上俊之氏による講義は、事前に各社から頂戴した「プロジェクトに参加している以外のスタッフも聴講させたい」との声にお応えした結果、全部で120名程度という多くの方々の参加をいただきました。JAniCA会員である若手についても、応募のあった数名にご参加いただくことができました。
全体講義の残り2回は、10月と11月にそれぞれ行う予定です。